『拝啓 親愛なるお父様

 晴天が続き日毎に暑さ増すこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
 南部地方で新しく始めたられたという事業は順調ですか?
 あちらの雨期は長く、大雨で陸路が断たれて久しいとの報。
 さぞや損害が出ていることでしょう。
 
 借金の件も耳に入っております。
 その肩代わりに、わたしを某子爵家に嫁がせるということも。
 きっと事業の利権の何%かも差し出したのでしょうね。
 先方との顔合わせの日取りは明日だそうで。
 わたしが逃げ出さないように、直前まで秘密になさるおつもりでしたのでしょうが、残念ですね。

 お父様がこの手紙をご覧になっている頃、わたしはもう屋敷におりません。
 せいぜい赤っ恥をかかれば宜しいかと思いますわ。
 では、お元気で。
 
           あらあらかしこ
 貴方の小賢しい愛娘ジルーシャより


追伸

 ご先祖様が代々守ってきたこの家督を継ぐのはわたしです。
 婿養子のお父様にはご退場願いたく。
 わたしが故郷に錦を飾りますので、それまでくれぐれも当家をお取り潰しにされないよう、お願い致しますね?』
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